長野 宇規
Takanori Nagano
准教授
- 自己紹介
研究のきっかけ
大学生のころに一年休学して地中海の周りの国々を放浪しました.そしてアルジェリアのオアシスで美しい水路ネットワークと見事な農業生態系に出会い,乾燥地の農業に興味を持つようになりました.
今までの研究
博士課程ではアフリカのニジェールで「斜面ミレット農地の保全のための実証的研究」に取り組みました.ニジェールでは,主食のミレット(トウジンビエ)の生育環境が水不足と土壌侵食,土壌栄養不足により脅かされています.生産性の回復のためには農作物と草地と木とシロアリと家畜の密接な関係をうまく生かすことが必要なことを見出しました.
総合地球環境学研究所では「乾燥地の農業生産システムに及ぼす地球温暖化の影響」という大きなプロジェクトに参加し,プロジェクトの推進と灌漑排水に関する調査に取組みました.2070年代の温暖化気候シナリオに対し,トルコの巨大灌漑農地がどの程度適応できるのかを評価しました.異分野の研究者とのデータ共有,モデル連携,シナリオ検討などを行いました.塩害や水利組合の管理の習熟度など,灌漑農地の生産性に影響する様々な因子についても調査を行ないました.
今後の展望
私たちは長い時代を生き抜いてきたものに愛着を覚えます.建築物でも景観でも制度でも,風土に合わせて良 い設計がなされたものは時代を超えて生き残る力があります.地域を計画するということは,端的にいえば,地域を長持ちさせるため,その地域・文化をよく知り(環境史),時代の変化をよく知り(環境モニタリング,モデリング),未来に対して様々な可能性を広く検討する(思考実験,リスク評価)ということになります.自由な発想で農業・農村にかかわる様々な問題に取り組みたいと思っています.
略歴
2001年11月
総合地球環境学研究所COE研究員
2002年5月
京都大学大学院農学研究科地域環境科学専攻
博士(農学)
2004年4月
日本学術振興会特別研究員
2007年4月
総合地球環境学研究所研究推進センター
技術補佐員
2008年5月
神戸大学大学院農学研究科 准教授