バイオエコノミー
バイオエコノミーとは何か
バイオエコノミーは海洋、陸域で生産される再生可能なバイオマスを資源としたエネルギー、素材、食品に依存する経済を指します(EC, 2018)。ヨーロッパ諸国を筆頭として世界各国で持続可能性の追求のための優先政策となっています。18世紀中ごろから19世紀にかけて、石炭の工業利用を機として起きた産業革命は人類に偉大な工業力をもたらしましたが、その結果として地球規模の環境破壊と地球温暖化が進みました。進行する地球温暖化を産業革命前と比べ1.5度以内の上昇に抑制するためには2050年までに大気中の温暖化ガスの濃度上昇をゼロにする(カーボン・ニュートラル)ことが必要とされています(パリ協定の合意内容)。これは化石燃料使用の停止を意味します。その後人類は再生可能エネルギーと再生可能な資源に依拠して温暖化ガス濃度の低下に励む必要があります。つまりバイオエコノミーは化石燃料産業を置き換える新しい産業形態を指すのです。
バイオエコノミーの概念 (Nagothu and Nagano, 2020)
バイオマスの利用は人類の営みの中で長らく行われてきたものですので新しいことではありませんが、バイオテクノロジーや現代の工業力、情報力の利用によって高度に利用することが新しい点です。そしてバイオマスは生態系の中で生産されますから、持続的な利用、使用後の安全な環境への還元が必須となります。
Reference
- European Commission (EC) (2018) ‘A new bioeconomy strategy for a sustainable Europe’, https://ec.europa.eu/commission/news/new-bioeconomy-strategy-sustainable-europe-2018-oct-11-0_en
- Nagothu, U. S. and Nagano, T.: The bioeconomy approach and sustainable development: A review of the concept, opportunities and constraints, in Nagothu, U.S. (ed) The bioeconomy approach, constraints and opportunities for sustainable development, Routridge, 1-23, 2020.